入れ歯で快適な生活を送るための必修アイテム

入れ歯で快適な生活を送るための本当の必修アイテムは考え方です!
歯を失った方にとって入れ歯は生きていくための道具となります。噛むことを回復させるためにはインプラントなど他の選択肢もありますが、やはり入れ歯は第一選択肢です。
入れ歯との関係が悪ければ、生活するさまざまなシーンで不具合が生じてしまい困ることが多くなってきます。

このブログを開かれた方はおそらく、現在満足のいく状態でないのかもしれません。今回は、これから快適な入れ歯生活を送るためにあなたが身につける考え方、今できることについて解説します。必ずお役に立つ内容です、実行なさってください。

目次

この考え方を身につければ、快適な入れ歯生活を手に入れることができる

入れ歯は万能ではない


高いレベルの入れ歯でも、この考え方が腑に落ちるかどうかで幸、不幸が大きく別れます。「そんなの当たり前じゃないか!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、よく考えてみてください、本当にご自身そう思っていますか?

入れ歯は万能じゃないと分かっているようで、現実には腑に落ちていない方が一定数いらっしゃるようです。良い入れ歯ができさえすれば、入れ歯の調整さえ成功すれば元有った天然歯のように違和感なく話せる、食べれるようになると潜在意識で思ってしまっていませんか?

入れ歯は天然歯にはなれません。点数をあえてつければ、理想の天然歯が100点だとすれば最高点でも90点です。それが腑に落ちさえすれば、あなたには快適な入れ歯生活が待っています。

入れ歯には慣れる期間、リハビリ期間が必要


初めて入れ歯を入れた時の感覚の話です。
初めて入れ歯を入れた時は気持ち悪いのが当然です。考え方の順番として、まず目の前の入れ歯になれることをとことん努力してみてください。努力もできないくらい初めから気持ち悪い場合と1週間我慢しても我慢しても全く慣れる気がしなかったら、入れ歯をお作りになった歯科医師に相談しましょう。入れ歯に問題がある場合もあります。入れ歯はピンからキリまでで全てが気持ち悪いわけではありません。

入れ歯のピッタリ感はこう移り変わっていく


ピッタリの入れ歯が入った時には、あまり深く考えることなくそのピッタリ感は未来永劫続くと潜在意識で思ってしまうものです。なのでそのピッタリ感が薄れてきた時にガッカリ感を感じてしまいます。

作りたての入れ歯のピッタリ感①→ピッタリ→程なくしてわずかに緩くなり落ち着く→更に経年変化で緩くなる
              ②→あたって痛みが出て調整する→ピッタリ→経年変化で緩くなる
              ③→ピッタリが続く→徐々に経年変化で緩くなる

そのパターンは様々です。しかし共通するのは程度の差こそあれ緩くなるということです。

入れ歯を入れて直後に出る緩みは入れ歯が機能することにより、歯ぐきがいわゆるふわふわの土の上を歩くことにより踏み固められた状態になり、ふわふわな時と踏み固められた時の状態とに差が生じて緩くなったということです。

また、経年変化として起こる緩みは歯茎の下の骨(歯槽骨)が薄くなって行くのです。歯ぐきも薄くなりますが、歯茎の厚みより骨の厚みは大きいので変化量も大きくなり、それにより起こるのが経年変化として起こる入れ歯の緩みです。

入れ歯を合わせるのではなく、入れ歯に合わせる


一定数の方いらっしゃるのが、無意識に入れ歯を自分に合わせようとする方です。入れ歯を自分に従わせるのではなく、「この入れ歯という道具、どう使ったら能力を100パーセント発揮させられることができるか?」と考える方は必ず入れ歯との良い関係を築くことができています。

なぜなら歯科医師はあなたの日常生活の食事での噛み癖を100%把握することが困難だからです。もっと言えば、話し方、時間が空いた時に入れ歯を探知してしまう舌の癖などを考慮して入れ歯の形に反映したとしても100%は無理なのです。

ではどうするのが良いのでしょう?
それは日常生活で感じる違和感を歯科医師と相談し、それ以上調整すると入れ歯として機能が落ちていく寸前まで改良し、そこからはその入れ歯に自分自身を合わせるという使い方が良いでしょう。それが現実としてあるべき入れ歯との理想の関係です。

工夫すればなんでも食べられる


実は、あなたのお口の骨や歯ぐき、上下の顎の位置関係により、入れ歯の能力は大きく変わります。入れ歯の出来不出来も関係しますが、同じ入れ歯なら、歯ぐき、歯槽骨、顎の位置関係等の状態が良い人の入れ歯程、入れ歯を気遣うことなくなんでも食べることができます。

問題は、あなたのお口の中のそれらの条件が悪い時です。
条件が悪いお口の中でなんとかバランスを保っている入れ歯で、ハンバーガーを丸かじりしようと思っても無理です。食べるものの種類によって、あなたの入れ歯でも食べられる形大きさがあります。入れ歯で「なんでも食べられるよ!」とおっしゃる方は少なからず、その工夫をされています。

入れ歯安定剤は商品を選び最少期間使用する


昨今の入れ歯安定剤の中には有益で性能の良いものがあります。お勧めはクリーム状や少しザラついたクリーム状のものです。お勧めできないのは(介護の場面でのやむを得ない場合を除き)、硬めのペースト状で弾力性があり固まるものです。

特に後者は長い期間の使用はお勧めしません。なぜかというと、その安定剤は毎回毎回同じ状態で安定剤を入れ歯につけることが難しいからです。

ご本人には大した違いではなくとも歯ぐきや歯ぐきの下層の歯槽骨には毎回違った刺激として伝わります。証明されているわけではないかもしれません、しかしこの作用が歯ぐき、骨の退縮を助長させている可能性はあると思います。ですのでお使いになるときは、クリーム状の入れ歯安定剤は溶け出すのが嫌、効果時間が短いなど不満な点もあるでしょうが、先ほどのような作用は少ないのでこちらをお勧めします。

調整は3回を超えたら意味がない

入れ歯の調整に何度も何度も通われる方がいらっしゃるとお聞きします。私は経験上完成した入れ歯は、3回も調整すれば大概の方は落ち着かれます。

この入れ歯完成後の調整とは、歯科医院の治療椅子上の状態とご自宅にお帰りになってからの日常生活での状態との差の調整です。ですので数回でその差は解消できることが殆どです。それ以上かかる場合は何か他に原因があると思った方がよいでしょう。

入れ歯自体の不具合は歯科医師しか治すことはできない
(あなたにできることはない)


入れ歯の不具合を感じてご自身で治そうとする方がいらっしゃいます。ほんの少し尖っているところを丸める程度なら差し支えはないと思いますが、治そうと思っている行動が入れ歯を物理的にも機能的にも壊している方向に向かっていることがあります。

入れ歯での違和感や不具合を治したいときは歯科医師に相談されることをお勧めします。問題への違ったアプローチがある場合があります。ご本人でできることは“入れ歯に慣れること“のみと思っておいた方が良いでしょう。

お口の中は確実に退化して行く、そして入れ歯の歯もすり減る


人は年を経ると歯を失った部分の歯ぐき、骨が小さくなっていきます。それは経年的な入れ歯の不具合を起こす原因の1つですが、もう一つ大きな原因があります。それは人工歯の摩耗です。(入れ歯が壊れる、残存歯の状態が変化することの不具合は別として、)摩耗は入れ歯の繊細な機能の性能を落とします。

特に奥歯の摩耗が進むと、お口の高さは低くなり、噛み合わせも変化してしまい、前歯が強く当たり始めると入れ歯は外れやすくなります。人工歯は摩耗するという意識を持っていただいて、人工歯が平らになりツルツルになってきていないか、時々チェックしてみてください。

まとめ

“入れ歯でも本当に快適な生活を送って頂きたい“、その一念で入れ歯をお作りしてきました。しかし、入れ歯専門歯科院長として入れ歯の質を向上させただけではどうにもならないことがあることを、多くの経験から知りました。

今回お話ししたことは入れ歯自体の技術のお話ではなく、患者様の知識、考え方のお話でした。しかしこれらのことを腑に落としていただけるだけで、入れ歯生活はさらにさらに快適なものになります。是非騙されたと思って頭の中を変えてみて下さい。快適で幸せな入れ歯生活が待っていることをお約束します。

入れ歯・義歯専門歯科 Adii Dental Clinic 

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