入れ歯が以前と比べて、ズレたな〜と感じることがあります。今回はその原因と放置しておいたらどうなるか？また対処法などを解説していきます。
入れ歯のズレの種類
ズレの範囲は広く、顎に伝わる感覚から視覚で確認できるズレまで様々です。ここでは、代表的なズレの症例を挙げます。
・前歯、奥歯が正常な状態からズレている
・噛むと入れ歯がズレる
・噛み合わせにおいて、ズレを感じるポイントがある
・上下の入れ歯がズレている
・等々
入れ歯のズレの原因
入れ歯のズレの原因は、たった一つの原因で起こることもありますが、ほとんどが複合的なものと思ってよいでしょう。しかし基本的には口腔内の “力“ のバランスが崩れて起こるものです。
“力“のバランスの崩れとは？
・臨在する歯が揺れてしまい噛み合わせのバランスが崩れた。
・噛み癖がついてしまい、入れ歯にかかる力のバランスが崩れた。
・歯ぐきの状態に変化が生じてバランスが崩れた。
・噛み合わせ自体にが変化が生じて噛み合う場所の位置が変化しバランスが崩れた。
放置するとどうなるか？
噛み合わせにおいて、バランスが保たれた状態になるまで変化し続けます。それが大きくズレていくのか？少しのズレで収まるのかは口腔内の状態次第です。ズレは進行してさらにズレる場合もあります。またズレが進行することによる二次的な障害が出ることもあります。
入れ歯のズレによる二次的な障害
バランスが崩れズレが進行すれば、ある残存歯には強い圧がかかってくるかもしれません。それにより、その歯の歯周病は進行し揺らいでしまい抜歯になる場合もあります。そうするとさらにお口の中の環境は新たのものになっていきます。また入れ歯と歯ぐきの接触圧のバランスが崩れ痛みが出る場合もあります。大きく噛み合わせが崩れれば、顎関節に影響が出て最悪口が開かないなどの顎関節症を引き起こしてしまうこともあります。
二次的な障害は段階的に目に見えるものではなく、やや遅れて突然発症し、認識した時にはある程度症状が進んでいる場合が多いので注意が必要です。
対処法
ご自身でできる対処法
効果は低いかもしれませんが、心構えとして“奥歯でしっかり噛む、噛み合わせる“と思って下さい。
歯科医院での対処法
第一選択は歯科医にご相談することをお勧めします。一度変化した口腔内のバランスを整えることは難しく、原因を見極めて適正な治療を施す必要があります。原因が究明できていなければ何度でも同じことが起きる可能性があると思って下さい。ですのでその場しのぎの処置ではなく根本的な原因除去の治療を依頼することをお勧めします。
入れ歯のズレを改善するためにはどのくらいの期間がかかりますか？
入れ歯のズレはその種類により修正のための時間は変わります。問題はそのズレがどの原因に起因するかです。
例えば、前歯の正中がズレた、前歯が斜めになってしまったなどのズレは歯科医院の受診時に直ることは難しく数日から、ことによって入れ歯の作り直しになることもあります。ズレで受信時に治る例としては、噛み合わせにおいてズレるような感覚が出ることがあり、それは調整で直ることがあります。“どのくらいの期間で直る“という目安はないと思っていた方が良いでしょう。
トラブル回避のためにできること
ご自身の口腔内に関心をもつことが一番
時折、鏡を見て入れ歯の状態を確認し、感触的に不備はないか？前歯は曲がってないか？確認をすることをお勧めします。それにより、避けられるトラブルもあります。
入れ歯の交換時期とチェックポイント
臼歯の噛む面の摩耗に注意
臼歯の噛む面はよく見ると、凹凸がありその間には溝があります。良く噛むことができる入れ歯はその凹凸が摩耗によって平らになってきます。そうなると部分入れ歯でしたら、残っている歯に圧がかかり負担が増したり、噛み合わせのバランスが崩れて前述のズレの可能性が出てきます。入れ歯を作って何ヶ月の単位では磨耗はほとんど進みませんが、年単位では人により進む方は大きく進みます。入れ歯自体の作り直しをせずに新しい人工歯に交換することもできます。摩耗の見極めは難しいので、歯科医に相談することをお勧めします。
入れ歯の適切なフィット感を維持するために
入れ歯に緩みを感じたら、それが大きな緩みにならないうちに歯科医に相談することです。大きな緩みは二次的な障害につながりますから、適切なフィット感を維持することが、トラブルを起こさずに将来的にも入れ歯に変更を加えずに使い続けるコツです。
口腔内の健康維持のために重要なこと
特に部分入れ歯の方にとって口腔内の健康維持に重要なことは、残存歯のケアです。残存歯の健康が口腔内の健康に直結します。残存歯に問題が生じれば入れ歯に変更が生じます。その流れが部分入れ歯から総入れ歯へと移行するパターンです。現在お使いになっている部分入れ歯の状態が良ければ、口腔内の健康維持にとって残存歯の健康維持に注力するのが一番の最重要項目です。
まとめ
入れ歯のズレは原因が様々で、根深いものも少なくありません。入れ歯のズレをしばらく放置すると作り直しになってしまう確率は上がります。そればかりではなく、残存歯や顎関節、身体自体に影響してしまうことさえあります。軽んじることなく、自己判断はせず、歯科医にご相談ください。