入れ歯は夜外す?

このブログは、私自身が入れ歯ユーザーとして、歯科医師として、歯科技工士としての3者の立場から書いてます。

夜、入れ歯は外して寝た方が良いですか?
とてもよく聞かれる質問です。従来入れ歯は、“夜は必ず外して水に浸して寝る“と言われてきました。現代の歯科ではどうなのでしょうか?従来通り入れ歯は外して寝た方が良いか?外さないで入れて寝ても構わないのか?ご自身が以下の4パターンのうちどこに該当するか考えていただき、ご参考にしていただければと思います。


1、小さな部分入れ歯をしている
2、ご自身の歯は上下で数本しか残っていない
3、外して寝ると時喉が狭くなって苦しくなる
4、上記に当てはまらない4、上記には当てはまらない

1、小さな部分入れ歯をしている

結論:外して寝てもらって大丈夫です。(例外あり)

基本的には、外して寝ていただいて大丈夫です。
しかし例外があります。入れ歯を外すと口の中を吸う癖がある方がいらっしゃいます。過度に吸ってしまうと口腔内が陰圧になり頬の内側、唇の内側の粘膜が歯のないところに入ってしまい、頬や唇の内側を噛んでしまいます。こういう方は入れ歯を外さないで寝ることをおすすめします。

2、ご自身の歯は上下で数本しか残っていない

結論:装着して寝た方が良いです。

入れ歯を外すと噛み合うところがなくて、残っている歯が反対の顎の歯ぐきに当たって歯ぐきを傷をつけてしまったり、慢性的な圧痕(アッコン)になってしまうことがあります。慢性的な機械的刺激は、確率は低いですがガンを誘発するケースもありますから、防止のために入れ歯は装着してお休みになることをおすすめします。

また残っている歯での歯ぎしりも問題です。せっかく一本でも歯を残したいと思って、入れ歯としては見栄えや機能に問題の残る可能性のある部分入れ歯を選択されたわけですから、その残した歯の寿命を縮めてしまう歯ぎしりは回避したいものです。どうしても、1、2本上下に歯が残っていると、無意識に擦り合わせてしまうのが常です。残った歯は毎晩擦ることで揺すられ、いつしかグラグラになていきます。入れ歯を入れれば残った数本の歯も全体の一部ですから、無意識で擦りたくなる感覚も薄まり残った歯の寿命は長くなるということです。

3、寝ている時喉が狭くなって苦しくなる

結論:装着して寝た方が良いです

ご自身の歯が一本もない(総入れ歯)方に見られる傾向です。寝る時に入れ歯を外すと歯が一本も無いわけですから口腔内の高さが維持できずに低くなってしまい、イビキや睡眠時無呼吸症候群を誘発してしまう可能性があります。
そういう方は入れ歯を装着して、口腔内の高さを確保してお休みになるのが良いでしょう。

4、上記には当てはまらない

1〜3の項目に当てはまらない方は外して寝ていただいて構いません。

※入れ歯は部分入れ歯、総入れ歯にかかわらず寝ている間でもお口の中で外れてしまったりしないというのが前
  提です。
※装着したままお休みになる場合でも、直前には入れ歯をきれいに清掃及び除菌を済ませてから再装着しておや
  すみになって下さい。

まとめ

朝起きると顔が浮腫んでいることはありませんか?お口の中の歯ぐきも浮腫みます。朝入れ歯を入れる時に、入れ歯が高いと感じることはありませんか?そうですあれもその一種です。基本的には、入れ歯は歯ぐきを圧迫しているわけです、浮腫むお肌にさらに圧迫するようなものをのせない方が良いです。しかし装着したまま寝ることでメリットがそれを上回るのであれば、装着したまま寝ることをお勧めします。

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